元旦から大変だった話

 僕はなるべく日記は付けないようにしているのだが(なにせ後で見直したとき恥ずかしいではないか)、今日は新春早々あまりにとほほだったので御神酒の勢いも手伝ってちょっと書いてしまおう。
 毎年、新年になると人はそれなりに新春の誓いやら予定を立てるものだが、今年の僕の元旦の予定は早起きをしてカメラを片手に新春の風景を撮ろうというものであった。人はなれないことはしないほうがいいとはよく言われることだが、僕の場合にもまさにその言葉が当てはまるとはこの時点では夢にも思っていなかったのである。

 起床。目覚ましは初日の出前にセットしたはずだが、気が付いたときにはすでに8時だった。どうせ初日の出が拝めないならと10時近くまで眠ることにする。そして朝食のお雑煮とおせちを食べつつ御神酒を飲んで(すでに正月だからと言うことでお酒のリミッターははずれています)、年賀状を整理していると(それにしても年賀状と言うのはどうして送った人からはこないで送らない人からはこうもたくさん届くのでしょう)すでにお昼になってしまった。この時点で何となくいやな予感はしていたのだが、元旦くらいはきちんと予定通りにしようと三脚とパノラマカメラ、レンジファインダーを用意して出かけることにする。さすがにこの時点で、普通の神社に行くと恐ろしい混雑が待ち受けていることが予想が付いたので、近所のひなびた神社なら大丈夫だろうと15年ぶりくらいに近所の神社に行くことにした。

 しかし15年と言う月日は大したもので、すでに道筋を覚えていない上に、うちの周りは新興住宅地なのでなんと道や肝心の神社までが記憶とは別のものに変貌している。行きはそれでも神社の方で参拝客を当て込んで、様々な標識が神社の手によってつけられているのを頼りに何とか行き着けたのだが、たどり着いてみれば近所のひなびた神社のはずが本殿とは別に別館を持つまでに立派な神社になっているではないか。まあ、神社が立派になっているのはいいのだが問題は参拝客の数までもが神社の規模に比例してというかさらに倍以上に増えている事だった。これがどれくらいの量かと言うと、神社の石段に普通に並ばせると上であふれてしまうので、石段の下の普通の道路の上で警備員の人が先導しつつ延々と行列が100メートル近くのびていると言う状態なのである。さらに驚くべき事なのは、本殿とは別に新たに作られた別館もまた同じくらいの行列が続いているのである。おかしい、朝参拝した母の話ではここはすいている神社だったはずだと思い警備に話を聞いてみると「今朝の9時には誰もいなかったんですけどねー」ということらしい。最近夜型になって朝起きられないのは我々デジタル業界だけではなく一般人も同じだったようだ。それにしても6時とか7時とかならせめてあきらめも付くが、聞けば混雑してきたのは朝(というか昼)の11時過ぎだと言う話である。

 ここで、せめて早く起きていればとの思いも無くもないが、僕はすでに参拝を断念して気を取り直して新春の風景というか、このすさまじい行列を撮ろうとパノラマカメラの方を取り出して写真を取り始めた。まず、巻き上げる。おやなんか堅いな。まあ、ロシア製のカメラだしこれくらいの事では驚くほどではない。続いて2枚目を撮ろうと巻き上げると、今度は巻き上げきれない。フィルムを全部使ったのかなと思い、フィルムを巻き戻すと「ブチッ」といやな音がするではないか。そういえば最初からフィルムの巻き上げが妙に重いとは思っていたがまさか最初からフィルムが中で絡まっているのではないかと思いつつ、ここで動揺して急いで巻き上げるとかえってトラブルがひどくなるので、カメラに動揺を悟られないようにここは丁重にフィルムを巻き取らなければならない。が、すでにフィルムは中できれいにちょんぎれて、カラカラと言う音とともに巻き取りシャフトが回るのであった。
 ここまでくるのに1時間以上も歩いてきたのは何だったんだろうと思いつつ、それでももう1台のカメラで写真を撮ったり甘酒を飲んだりしつつ何とか気を取り直して帰路に就くと、やはりとほほの神様はこれくらいでは見逃してくれるわけもなく、妙に帰り道が長いのである。いや、正確に言ってしまえば、帰り道でしっかり道に迷って電車で言えば1駅分以上もよけいに行ってしまったのだ。こんな事もあろうかと地図をもってきたのは正解だった。地図を見て最短コースを選び直そうと見ると、最短コースはこれまで来た道を1駅分戻るのが最短コースであった・・・・。

 このあと、このままで帰れるかと電車に飛び乗った話などさらに続くのだが、さすがに長いので省略して家になんとか夕方にたどり着いたところまで話は飛びます。家にたどり着いてもとほほの神は僕を見逃してくれなかったのでしょう。カメラのパーツを見ると何かが足りない。どうやら手持ち撮影の際に持ちやすくするためのハンドストラップが無くなっているではないか。ちなみにこのストラップというか単なる持ち手、おそらく値段は限りなく安いものの筈ですが、無くなったのがロシア製のカメラの為に、日本では(というか我々西側の世界では)手に入れるにはもう一台同じカメラを買って部品を取らなければ手に入らないと言うしろものです。(いや、東側の部品(カメラでも車でもなんでも)は向こうでも手に入れるためには、修理工場などで賄賂を渡して他の修理まちのマシンから取らないと手に入らないと言う話もありますが・・・。)
 こうして正月早々のプランは大変なことになり、やっぱり正月は例年同様、酒を飲みつつごろごろするのが一番と言う思いを新たにするのであった。


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