LEICA M6, ELMRIT 21mm F2.8,
Fuji S-400,F4.0 1/30

 昔インテリアデザインを仕事としていた者として、自宅の内装をいじるのは最高の娯楽であり実験でもある。一人暮らしをしたら、いつか雑誌に載っているようなかっこいいインテリアにしたいと思っていたのだが、主に予算の問題でこれまでずっと先延ばしになってしまっていた。
 だが先日ようやくバーティカルブラインドの取り付けが終わってようやく人様にも見せられる部屋になってきた。今回は予算をケチるため昔取った杵柄でさまざまな安いお店から素材を注文し多くの作業を自分でやったりして仕上げたのだが、やはりブランクは埋めきれないらしく注文したブラインドがあと5mm長くて入らなくて一時は大変だった。幸い、向かいのプロ級の日曜大工の腕を持つ方に必要な工具を貸していただいて事なきを得たが、思った以上に細々としためんどくさい作業の多さに、あらためて現場の職人さんの偉大さを思い知らされた作業だった。あと、実際に作業をして分かったことだが最近の新建材は思った以上に色んな物が添加されているらしく、数日間は塗料のような独特のにおいが部屋にこもるのは閉口してしまった。

 ところでかっこいいインテリアと言っても人によって様々な好みがあると思うが、それを考える為にちまたにあふれている多くの雑誌を注意して読んでみると面白い事が分かる。インテリア専門誌を除く雑誌の場合、主にその雑誌がターゲットとしている読者を想定してインテリアを考えているのでその雑誌を読んでいるターゲット層の世代や好みが部屋にも一目瞭然で反映されているのだ。
面白いのは読者層の年齢に応じて扱うインテリアもリッチになっていくのは当然としても、世代によってインテリアの好みも変わってきていることである。特に興味深いのはマガジンハウスの雑誌で95年にBRUTUSでイームズ特集をしてその冒頭に高橋 盾のオフィスが紹介しているのが、それから4年後の99年には(よりターゲット年齢層が高いはずである)Caseのコルビジェ特集で(今度はコルビジェとは関係なかったが)再び高橋 盾のオフィスが紹介されているのである。つまり4年の間にターゲットの世代が読む雑誌もシフトしていったとマガジンハウス側も考えたのだろうか。
さらに範囲を広げていろんな雑誌を見てみるともっと面白い。昔の仕事であったこともあって、インテリアの特集があると10代のギャル向け雑誌から50代のシニア向け雑誌、業界向けの専門誌なども含めてついつい買ってしまうのだが、一口にかっこいい部屋と言っても傾向が全然違っているのである。おそらく同じ値段を住宅やインテリアに仮にかけることが出来たとしてもきっと別のものになっているのが用意に想像出来るのだ。しかもその部屋のバックボーンになっているのがどうも子供の頃に刷り込まれたかっこいい暮らしがベースになっているらしく、30代から40代くらいだと50〜60年代のアメリカのサバービアと言われるリッチな郊外生活者の暮らしを彷彿させるものが多いのに対し、もっと若い年代になると同じ60年代でももっとポップなデザインになってくるのである。

 話はだいぶそれたが、振り返って自分の部屋のデザインをみてみるとやはり50年代のモダンデザインの影響もさることながら、昔仕事でやっていたインテリアデザイナー時代の影響が思った以上にあってびっくりしてしまった。当時の部署はトップのデザイナーが2人ともニューヨークのデザイン事務所出身と言うこともあり、デザインセクションに関しては日本の事務所と言うよりはアメリカの事務所のような所があったのだが、当時デザインで頻繁に取り入れていた要素、たくさんの観葉植物、ウッドのテーブルや棚、ハーマンミラーやノルの什器、バーティカルブラインドといった要素の多くが今自分の部屋にあるのである。

 一連の作業を通して再びインテリアの仕事をやってみたくなった。


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