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「飲もうよ」

  昔、佐々木好と言う中島みゆきの妹分の歌手の曲にこんな曲があった。といってもどれだけの人が分かることやら・・。
 さて、今回書きたかったのはその曲の話ではなく昔の飲み友達の話だ。よく、人は失ってからその価値を思い知ると言う格言があるが、なにもかも失うのが嫌いな自分はこの言葉が嫌いだったにも関わらず、酒み友達に関してはこの言葉を思い知るようになってしまった。

 艶っぽい話とあまり縁のない自分だが、何故か飲み友達(女)に関しては不思議と恵まれていたと思う。まあ、逆にそこでダチになってしまうから艶っぽい話まで至らないのだとも言えるのだが・・。
高校時代からの女友達たちも、大学時代の女友達も、そして卒業してから入ったディスプレイデザイン会社の同僚の子も、今思い出すと不思議なのだが何故かお酒の好きな子達だった。おかげで彼女たちと遊びに行くときには、遊びに行く=飲みに行くと言う図式が出来てしまった。しかも今からよく考えてみると彼女たちは月に数回かもしれないが(いやそんなことはあるまい)、こちらはさっき書いた子達それぞれ行く訳だからもっとペースは多かったに違いない。まあ、彼女たちも一緒に飲んでいる時の話でこの店はこの前○○さんと来たとか、あっちの店は先週行ったからとか言っていたからきっとこちらと同じペースかそれ以上に飲みに行っていたのだろう。

 類は友を呼ぶと言うか、あるいはさすがに一人では飲みに行くのは抵抗があるのか、よくしたもので飲みに行くときは大抵彼女たちの友人と一緒だった。おかげでこちらは両手に花状態だった訳だが(当時、そんな意識はなかった)、一度、終電を乗り過ごしてやむなくホテルに泊まった事もあったが、フロントに慇懃に2部屋にしてくれないと困りますと言われたことがある。
 当時はバブルの予感からそれが正に実現しつつある時代だった訳だが、今思い返すと女の子と行くような小じゃれたお店はほとんどいかず、もっぱら日本酒とつまみのそろった見てくれより品揃え中心のお店ばかり行っていた。それももっぱら相手の子が見つけてきたお店である。まあ、デートじゃないし気を使ってもしょうがないと言うのもあったかもしれないが、それよりもお互い本当にお酒が好きだったのだろう。当時、彼女のいったフレーズで今も覚えているものにこんなのがあった「私はつまみは塩だけでOKだから」、しかもこのフレーズはしばらくしてから違う子からも聞くことになるのである。
 行くお店は下北沢を中心に新宿・銀座・田町と結構いろんな所にいったのだが、惜しむらくはすっかり連れていってもらってばっかりだったので、あれだけいった多くのお店の場所をほとんど覚えていないことだ。しかも梯子先の後半のお店になると現実にあるかどうかも記憶に怪しい。気に入ったお店に再び行くためにはしらふのうちに行かなくてはいけなかった。あとは意識のしっかりしているうちにマッチ等の証拠を入手しておくことだ。ちなみに酔っぱらった後だとたとえマッチを手に入れても、後でそれが何処にあったものか決して思い出せないので役に立たない。

 彼女たちと一緒に飲んでいた呪いのせいか、それともなにかのツキがたまたま人生のあの時期に固まっていたせいか、それからしばらくして好きになった子もまたとてもお酒の好きな子だった。なにせ自分で将来飲み過ぎで体を悪くするなどといっているくらいである。そしてその子とは結局うまくいかず次に好きになった子もまた同じようにお酒の好きな子であった。彼女は自分の国に帰らなくてはいけなくなって結局、数ヶ月のつきあいになってしまうのだが、おかげで彼女とのデートもまた限りなく飲みに行くのと同意語になってしまった。唯一違うのは、こちらががんばってお店のプランを考えたことくらいである。
 同じ頃、職場の上司の女の人からもたまに飲みに連れていってもらっていたので、この時期はこと飲みに行くことに関してはとても華やかな最良の時期だった。
どこだか忘れたがある男性誌のなかにあったフレーズに、「酒の最高のつまみはどんな高級料理でもない、女だ」と言うのがありふざけるなと思ったが、たしかに今同じお店で同じ物を飲んで食べてもきっと当時のような楽しいお酒を飲むことは出来ないと思うと、きっとその言葉は本当なのだろう。

 不思議なのはこれだけ親密に飲み歩いていて、後半には一緒に飲み屋だけでなく遊園地まで行くようになったに、彼女たちとは最後まで男女の仲にはならなかった。むしろ、後半になると互いに恋愛相談を持ちかけていたのだから不思議なものだ。

 松任谷由美のグループと言う曲の中にあるフレーズにもある様に、永遠に続くと思っていたこうした楽しいグループもやがて1人2人と結婚して抜けていってしまった。同性の友達と違って異性の友達の悲しいところは、恋愛関係抜きで成り立っていても相手が結婚すると終わってしまうことだろう。もう彼女たちとは連絡先すら分からない状態になっている。


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