HASSELBLAD 500CM, Planar 80mm F2.8,
KODAK EPP,F5.6 1/500

自転車再生記

 不思議なことに趣味の遍歴と言うのは共通項があるらしい。
クラシックカメラ好きは自転車好きが多いと言う話だが(さらに言えばこれに真空管アンプ自作も加わるケースも多い)、自分の周りを見渡してもかなりの確率でこの公式は当てはまるようだ。
 自分は以前カメラに結構投資(浪費)したのに懲りてこれ以上手を広げるつもりはなかったのだが、とうとう自転車にも手を出すことになってしまった。
 最初の動機は単に周辺を散歩するための単なる足代わりにするためだったのだが、ここでうっかり雑誌やカタログを集め始めたのが間違の始まりだった。知らないうちに今の自転車はすっかり様変わりしていて、それがとても魅力的に思えたのである。

 そこでこれまでだったら早速新たに自転車を購入するところだが、さすがにこれまでのカメラ等の散財や個展の出費がかさみとてもじゃないが購入出来そうもなかったので、実家に置きっぱなしにしてあるロードバイクを復活させることにした。10年以上前に購入した本格的なレースにも出られる仕様の自転車である。
 当時、自転車に凝っていて川崎から奥多摩までツーリングをしたりレースに出ることを画策していたりしたものの身分不相応だったらしく気軽に乗れないのもあって、いまではガレージの奥に放り込んだままになっているものだ。
 最初ガレージから引っぱり出して見てみると車の排気のせいで真っ黒でもう駄目かと思ったが、軽くクリーニングしてみると所々錆びているものの走行に関係しそうなパーツは幸いまだちゃんと動くようだった。そこでそのまま近所の自転車屋さんにもっていって見てもらったところ、タイヤチューブとチェーンを交換すればとりあえず普通に走ることが出来る事が分かったので早速それを交換してもらった。
 テスト走行の結果は若干ブレーキの利きが悪い気がするが後は問題ないようである(余談だが、テスト走行の翌日全身筋肉痛になったのは言うまでもない。やはり自転車の修復の他に筋力の修復も必要なようだ)。

 同時にネットでどのクラスのパーツが使ってあるか聞いてみたところ、シマノ600と言うものであるらしい。これはいろいろなバージョンがあるのだが最高モデルのDura-Aceのすぐ下に位置付けられているモデルで一頃のDura-Aceに見られた仕上げは無いものの、性能としては全く同じレベルのものだ。フレームは丹下のChampionNo.2でこれまたかなりの高級品である。
 当時この金額だったらスクーターが楽に買えるなと思った記憶があるので、かなり本格的なパーツが使われているとは思っていたが、まさかこれほどまでとは思わなかった。
 ここまでちゃんとしていると最初の予定通りの街乗りバージョンに改造してしまうのももったいないので、予定を変更してきちんとしたロードバイクとして復活させることにした。「ロードバイクメンテナンス」と言う本を買ってきてそれを手がかりに分解して各パーツを組み直すと見違えるようにきれいになった。後はハンドルテープをまき直してブレーキハンドルのゴムのカバーを取り替えれば完璧だと思っていたのだが、ここで思わぬ問題があった。10年以上前のパーツなのでもう生産していないだろうとは思っていたが、既にパーツの規格が変わって互換性自体が怪しくなってたのだ。
 当時使っていたシマノ600と違い、今のシマノのパーツはブレーキ側のスプリングの力によって少ない力で制動力を高めるようになっている。したがってブレーキレバーだけを今の物に取り替えるとブレーキレバーが重くなるというのである。さらにもう一つの問題はブレーキごと取り替えた場合、今と当時のブレーキアーチの長さが異なるので位置が合わなくなる可能性があるのだ。
 それに自分の性分としてブレーキハンドルを取り替えた場合、せっかく付いている手元変速機能を使いたくなるのは目に見えている(注:今の自転車の変速は手元のブレーキレバー側で行うことが出来る)。そうなったら今度はフロント・バックギアユニット自体の交換も考えなければならない。さらに当時と同じクラスのパーツにしようと思ったらシマノのULTEGRAクラスになるからパーツ代だけでも10万以上の出費である。

 こうして最初は安くあげようと思っていた自転車再生計画は新車を買うのに近い出費になりそうな見通しのまま今も進行し続けている。


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